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育成年代での優先順位の付け方

育成年代の指導において、個人技の習得とチーム戦術の理解、どちらを優先すべきかは、指導者にとって常に悩ましい課題です。

技術力が高い選手でも、戦術理解が伴わなければチームとして力を発揮できません。

一方で、戦術だけを教えても、個人技が不足していると状況に応じた柔軟なプレーができません。

では、育成年代において、どのように両者のバランスを取り、優先順位をつけるべきなのでしょうか。

育成年代での優先順位の付け方

育成年代における優先順位の基本

育成年代とは、身体的・技術的・心理的な成長段階に応じて学びを深める時期です。年齢や発育段階によって、個人技と戦術の学習に適したタイミングがあります。

低学年・ジュニア年代(小学1~4年生)
この時期は、まず基本的なボール扱い、ドリブル、パス、シュートといった個人技を習得させることが重要です。

まだ戦術理解は浅いため、複雑なフォーメーションや役割分担よりも、「ボールを自由に扱えること」「状況に応じて動く感覚」を育むことを優先します。

中学年代(中学1~3年生)
個人技を習得した上で、簡単な戦術理解を導入する段階です。

ここでは、1対1の守備や攻撃、スペースの使い方、連動プレーなどを少しずつ学ばせます。個人技と戦術を並行して学ぶことで、選手は自分の技術を戦術の中で活かす経験を積めます。

高校年代(高校1~3年生)
個人技はほぼ身についている前提で、チーム戦術の理解と連携を重視します。

この段階では、状況判断やポジショニング、試合中の意思決定など、戦術的な思考力を伸ばすことが優先されます。個人技は磨き続けるものの、チームとしてのプレーを意識させることが重要です。

個人技と戦術を融合させる指導法

個人技とチーム戦術は切り離せない関係にあります。どちらかを極端に優先するのではなく、融合させながら指導することがポイントです。

個人技を戦術の中で活かす
ドリブルやパス、シュートなどの技術は、試合の中で使えるからこそ意味があります。

たとえば、ドリブル突破の練習をする際に「サイドチェンジの場面で使えるか」「ディフェンスをかわす局面で使えるか」と、戦術的な意図と結びつけると効果的です。個人技を単なる技の練習で終わらせず、チーム戦術の中で試すことで、理解が深まります。

ゲーム形式で戦術理解を促す
5対5や7対7などの少人数ゲームを通じて、個人技を使うタイミングやチーム戦術の判断を同時に学ばせます。制限ルールを設けることで、特定の戦術に集中させたり、個人技を意図的に使わせたりすることができます。こうした練習を繰り返すことで、選手は自然と「自分の技術をチームの勝利にどう活かすか」を考えるようになります。

フィードバックで意識を結びつける
練習中や試合後に、「このプレーは個人技で突破できたが、チームの連動も意識できたね」と具体的に伝えることで、個人技と戦術の関係性を理解させます。選手が自分の行動とチーム戦術のつながりを意識できるよう、言語化することが大切です。

心理的側面も考慮する

個人技を磨くことに強く偏る選手や、戦術理解に時間がかかる選手もいます。

指導者は、選手それぞれの性格や習熟度に応じて、優先順位やアプローチを柔軟に調整する必要があります。

個人技重視の選手
「自分の技術を活かしたい」という気持ちは成長のエネルギーになります。ただし、チーム戦術を理解する場面でも主体的に取り組めるよう、段階的にルールや役割を加え、成功体験を積ませることが有効です。

戦術理解に苦戦する選手
戦術の理解が遅れても、個人技で貢献できる場面を設けることで自信を維持させます。小さな成功体験を積ませることで、戦術理解への意欲も高めることができます。

育成年代での優先順位の付け方 | まとめ

育成年代における指導では、年齢や発育段階に応じて個人技と戦術の優先順位を設定することが大切です。

低学年では個人技を優先し、中学年代で並行して戦術を学ばせ、高校年代では戦術を重視しながら個人技を磨く、といった段階的なアプローチが効果的です。

また、個人技と戦術を分けて考えるのではなく、融合させながら指導することで、選手は技術を実際の試合で活かせるようになります。

ゲーム形式の練習やフィードバックを活用し、選手自身が自分の技術とチーム戦術のつながりを理解できるように導くことが重要です。

育成年代は、技術だけでなく判断力やチームワーク、主体性を同時に育てる時期でもあります。

指導者が段階的な優先順位と融合の視点を持つことで、選手はバランスの取れた成長を遂げ、将来にわたって活躍できる力を身につけることができるのです。

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