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「できない」を成長のチャンスに変える指導者の関わり方

スポーツの指導をしていると、「できない」という言葉を耳にする機会があります。

「このプレーができない」

「何度やっても上手くならない」

「自分には向いていない」

選手自身がそう感じることもあれば、指導者が「まだできていない」と評価することもあるでしょう。

しかし、「できない」という状態は、必ずしもネガティブなものではありません。

むしろ、できないことに気づき、そこから試行錯誤する経験は、選手が成長するための大きなきっかけになります。

重要なのは、「できないことをなくす」ことだけではなく、「できないときにどう向き合うか」を身につけてもらうことです。

「できない」は成長の途中にある

スポーツでは、練習したからといってすぐにできるようになるとは限りません。

新しい技術を覚えるときには、何度も失敗します。今までできていたことが、少し難しい条件になるだけでできなくなることもあります。

ここで大切なのは、「できない=才能がない」と考えないことです。

できないということは、見方を変えれば「まだできるようになっていない」というだけかもしれません。

その違いは、とても大きなものです。

「自分には無理」と決めてしまえば、そこで挑戦は終わります。

一方で、「今はできないけれど、どうすればできるようになるだろう」と考えられれば、そこから練習や工夫が始まります。

指導者が伝えたいのは、結果としての「できた」だけではありません。

「できるようになるまでの過程にも価値がある」ということです。

すぐに答えを教えないことも指導

選手ができないことに悩んでいると、指導者はつい答えを教えたくなります。

「こうやればいい」

「もっとこう動いて」

「今のはこうするんだよ」

もちろん、技術を正しく伝えることは指導者の重要な役割です。

ただし、すべての答えをすぐに与えてしまうと、選手が自分で考える機会を奪ってしまうことがあります。

例えば、プレーが上手くいかなかったときに、

「今のプレー、どこが難しかった?」と問いかけてみる。

選手が「タイミングが合わなかった」と答えたなら、

「じゃあ、次はどうしてみる?」とさらに考えてもらう。

このように、自分で原因を考え、次の方法を選択する経験を増やしていきます。もちろん、年齢や競技経験によっては具体的なアドバイスが必要な場合もあります。

大切なのは、指導者がすべてを解決するのではなく、選手自身が考えて解決する場面も意識的につくることです。

ミスを責めるより「次」を考えさせる

選手が失敗したとき、指導者の言葉はその後の行動に大きく影響します。

「なんでできないの?」

「さっきも同じミスをしたよね」

こうした言葉が続けば、選手はミスそのものよりも、「怒られないようにすること」を意識するようになるかもしれません。

すると、失敗を避けるために無難なプレーを選んだり、新しいことへの挑戦を控えたりすることがあります。

そこで、ミスをした後には「なぜ失敗したのか」だけではなく、「次にどうするか」に目を向けることが重要です。

「今の経験から、次は何を変えてみる?」

そう問いかけることで、ミスを終点ではなく、次のプレーにつながる材料として捉えられるようになります。

失敗をなくすことよりも、失敗した後にどう行動するか。その経験を積み重ねることが、選手の成長につながります。

「できた瞬間」より「挑戦した過程」を見る

指導者が選手を評価するとき、どうしても目立つ結果に目が向きます。

試合で得点した、良いプレーをした、難しい技術を成功させた。

もちろん、それらは素晴らしい成果です。

しかし、成長の過程では、結果として成功しなかった挑戦にも価値があります。

今までやったことのないプレーに挑戦した。

苦手な練習から逃げずに取り組んだ。

何度失敗しても、もう一度やってみた。

こうした行動を見つけて言葉にしてあげることで、選手は「挑戦することにも意味がある」と感じられます。

「上手くできたから評価される」のではなく、「成長するために行動したことも見てもらえている」。

この感覚があることで、選手は結果だけに振り回されにくくなります。

「できない」を成長のチャンスに変える指導者の関わり方|まとめ

選手にとって、「できない」という経験は避けたいものかもしれません。

しかし、できないことに直面したからこそ、自分で考えたり、工夫したり、何度も挑戦したりする機会が生まれます。

だからこそ、指導者が目指したいのは、選手から「できない」をなくすことだけではありません。

「できないとき、どうすればいいのか」を選手自身が考えられるようにすることです。

すぐに答えを与えるのではなく、考える時間をつくる。

ミスを責めるのではなく、次の行動に目を向ける。

結果だけではなく、挑戦した過程にも目を向ける。

こうした関わりを積み重ねることで、選手は少しずつ「できない=終わり」ではなく、「できない=ここから成長できる」と考えられるようになります。

スポーツにおいて、すべてのことが最初からできる選手はいません。

大切なのは、できないことに出会ったとき、それをどう乗り越えていくか。その力を育てることこそ、競技力だけではなく、選手のその先の人生にもつながる指導になるのではないでしょうか。

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