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「やる気がない」のではなく「意味が見えていない」選手たち

練習中に動きが鈍い、声が出ない、指示に対する反応が薄い――そうした選手を見て、指導者が「やる気がない」と感じる場面は少なくありません。しかし、その評価は本当に適切なのでしょうか。

実際には、「やる気がない」のではなく、「その行動の意味が見えていない」だけというケースが多く存在します。人は、納得できないことや目的が分からないことに対して、高いモチベーションを維持することが難しい生き物です。特に育成年代の選手にとって、「なぜそれをやるのか」という理解は、行動の質を大きく左右します。

「やる気がない」と決めつけていないか

意味が見えないと行動は止まる

例えば、同じランニングメニューでも、「とにかく走れ」と言われて走るのと、「試合終盤でも動き続けるためのトレーニング」と理解して走るのとでは、取り組み方は大きく変わります。

意味が見えていない状態では、選手の中に「なぜこれをやるのか」という疑問が残ります。この疑問が解消されないままでは、行動は義務的なものになり、やがて集中力や継続力が低下していきます。

つまり、「やる気がない」と見える行動の裏には、「納得していない」「理解できていない」という状態が隠れている可能性が高いのです。

説明不足がモチベーションを奪う

指導者は日々多くのことを伝えなければならず、練習の意図を細かく説明する時間が十分に取れないこともあります。しかし、説明が不足すると、選手は目の前の練習と試合のプレーを結びつけることができません。

特に基礎練習や反復トレーニングは、目的が伝わっていないと単調に感じやすく、「やらされている感」が強くなります。その結果、取り組みの質が下がり、「やる気がない」と見える行動につながってしまいます。

「自分事化」が行動を変える

意味を伝える上で重要なのは、選手にとって“自分事”として理解できるかどうかです。抽象的な説明ではなく、具体的なプレーと結びつけて伝えることで、選手は納得しやすくなります。

例えば、「このトレーニングは大事だ」と伝えるだけでなく、「この動きができると、試合で一歩早くボールに触れる」といった形で説明することで、練習の価値が明確になります。

さらに効果的なのは、問いかけを使うことです。

「今のプレー、何が足りなかったと思う?」
「この場面でどう動けばボールを受けられる?」

こうした問いを通じて、選手自身が意味に気づくと、主体的な行動が生まれます。

成功体験が意味を定着させる

意味の理解を深めるもう一つの方法は、実際の成功体験です。練習で取り組んできたことが試合でうまくいった瞬間、選手は初めて「だからこの練習をしていたのか」と実感します。

このとき、指導者がそのつながりを言語化することが重要です。

「今のプレーは、この前の練習でやっていたことだね」
「この動きができたからチャンスになったね」

このようなフィードバックが、意味の理解を強化し、次の行動への意欲を高めます。

「やる気を引き出す」のではなく「意味を見せる」

指導者はしばしば、「どうすればやる気を引き出せるか」を考えます。しかし、やる気は外から与えるものではなく、内側から生まれるものです。そのきっかけとなるのが「意味の理解」です。

意味が見えた瞬間、選手の行動は自然と変わります。逆に、どれだけ強く叱咤しても、意味が見えていなければ一時的な変化にとどまります。

指導者に求められる視点の転換

選手の態度が気になったとき、「なぜやる気がないのか」と考えるのではなく、「この行動の意味は伝わっているか」と問い直すことが重要です。

この視点の転換が、指導の質を大きく変えます。選手を変えようとする前に、伝え方や環境を見直すことで、自然と行動が変わるケースは多くあります。

意味が見えると選手は動き出す

育成年代の選手は、単に命令されたことをこなすだけでは長く成長を続けることができません。自分が取り組んでいることの意味を理解し、それが自分の成長につながると実感したとき、初めて主体的に行動するようになります。

「やる気がない」と決めつけるのではなく、「意味が見えていないのではないか」と考えること。この視点を持つことで、選手の可能性を引き出す指導へとつながっていきます。

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