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コーチが知らないと危険な「成長痛」

育成年代の選手を指導していると、「膝が痛い」「かかとが痛む」「走ると違和感がある」といった訴えを耳にすることが少なくありません。

これらは一括して「成長痛」と呼ばれることが多いですが、実はこの言葉の使い方には注意が必要です。安易に成長痛と判断することで、重大な怪我や長期離脱につながるケースもあります。

指導者が最低限知っておくべき成長痛の正体と、その周辺症状について解説します。

コーチが知らないと危険な「成長痛」とその周辺症状

「成長痛」は医学的な正式名称ではない

まず理解しておきたいのは、「成長痛」という言葉は医学的に厳密な診断名ではないという点です。一般的には、成長期に起こる骨や筋、腱への負荷による痛みを総称して使われています。

問題なのは、「成長期だから仕方ない」「そのうち治るだろう」と軽く扱われてしまいやすいことです。実際には、明確な原因が存在し、適切な対応をしなければ悪化する障害も多く含まれています。

代表的な成長期障害とその特徴

成長痛として見逃されやすい代表的な症状には、以下のようなものがあります。

・オスグッド病

膝のお皿の下が出っ張り、押すと強い痛みが出ます。ジャンプやダッシュが多い競技に多く、無理を続けると慢性化しやすい障害です。

・シーバー病

かかとの痛みが特徴で、特に走った後や朝の一歩目に強く痛みます。サッカーや陸上など、走動作の多い競技で頻発します。

・疲労骨折

初期は違和感程度でも、放置すると骨折に至ります。「成長痛だと思っていたら実は疲労骨折だった」というケースも少なくありません。

これらはすべて、成長期の骨の弱さと過度な負荷が組み合わさることで起こります。

「動けている=大丈夫」は危険な思い込み

指導現場でよくあるのが、「痛いと言いながらもプレーできているから大丈夫だろう」という判断です。しかし、成長期の選手は痛みに慣れてしまい、我慢して動いてしまうことがあります。

その結果、
・フォームが崩れる
・別の部位に負担がかかる
・パフォーマンスが徐々に低下する

といった二次的な問題が起こりやすくなります。これは単なる痛みの問題ではなく、将来的な怪我のリスクを高める要因になります。

成長期特有の「身体のアンバランス」

成長期は、骨の成長スピードに筋肉や腱の柔軟性が追いつかない時期です。このアンバランスが、痛みや違和感の大きな原因となります。

特に、
・急激に身長が伸びた時期
・練習量や強度が上がったタイミング
・ポジション変更や動作負荷が変わった時

には、成長痛様の症状が出やすくなります。これを「根性」や「気持ち」の問題にしてしまうと、回復の機会を失ってしまいます。

指導者ができる初期対応のポイント

成長痛が疑われる場合、指導者に求められるのは「診断」ではなく「判断の分岐」です。

・痛みが出る動作は何か
・練習後や翌日に痛みが増していないか
・左右差があるか

こうした点を丁寧に観察し、違和感が続く場合は、早めに医療機関や専門家につなぐことが重要です。また、練習量の一時的な調整や、休養を「前向きな選択」として伝える姿勢も欠かせません。

「休ませること」は育成の一部

成長期の怪我予防において最も重要なのは、「休ませる勇気」です。痛みを我慢して続けることが美徳になると、選手は自分の身体の声を無視するようになります。

長期的に見れば、適切な休養は競技寿命を延ばし、結果的に成長を加速させます。休むこともトレーニングの一環であるという認識を、チーム全体で共有することが大切です。

成長痛を軽視しない指導が未来を守る

成長痛は「よくあること」ではありますが、「軽く扱ってよいもの」ではありません。

その裏には、成長期特有のリスクや、見逃してはいけないサインが隠れています。

選手の未来を守るためにも、指導者が正しい知識を持ち、痛みを訴えやすい環境をつくることが重要です。

成長期の身体と真摯に向き合う姿勢こそが、真の育成につながると言えるでしょう。

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