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体幹トレーニングは本当に必要か?――最新研究から見直す基礎トレ

近年、体幹トレーニングは「やって当たり前」のように語られるようになりました。プランクやバランス系のメニューは、多くのチームでウォーミングアップや補強として取り入れられています。

しかし一方で、「本当に競技力向上につながっているのか」「やり方は合っているのか」という疑問も聞かれるようになっています。本記事では、最新の研究知見を踏まえながら、体幹トレーニングの必要性を改めて整理します。

体幹トレーニングは本当に必要か?――最新研究から見直す基礎トレ

そもそも「体幹」とは何か

体幹とは、腹筋や背筋だけを指す言葉ではありません。胸郭・骨盤・脊柱を含む胴体全体を指し、手足の動きを安定させ、力を伝える役割を担っています。

重要なのは、「体幹を鍛える=腹筋を強くする」ではないという点です。体幹は力を生み出すというよりも、動きを支え、つなぐ役割を持っています。この理解が曖昧なままトレーニングを行うと、目的と手段がずれてしまいます。

最新研究が示す体幹トレーニングの位置づけ

近年の研究では、体幹トレーニング単体が直接的に競技パフォーマンスを大きく向上させるエビデンスは限定的である、という報告も増えています。特に、静的な体幹トレーニング(長時間のプランクなど)だけでは、スプリントやジャンプ能力の向上につながりにくいとされています。

一方で、体幹の安定性が不足している選手に対しては、怪我予防や動作の改善に有効であることも示されています。つまり、体幹トレーニングは「万能」ではなく、「必要な選手に、適切な形で行う」ことが重要なのです。

「やりすぎ体幹トレ」の落とし穴

育成年代で特に注意したいのが、体幹トレーニングのやりすぎです。毎回同じメニューを長時間行うことで、選手が目的を理解しないまま「作業」になってしまうケースが少なくありません。

また、体幹ばかりに時間を割きすぎると、本来優先すべき技術練習やゲーム形式の時間が削られてしまいます。体幹トレーニングはあくまで「土台作り」であり、主役ではないことを忘れてはいけません。

競技動作と結びつけることが鍵

最新のトレーニング理論では、体幹は「固定するもの」ではなく、「状況に応じて安定と動きを切り替える能力」として捉えられています。

例えば、
・走りながらバランスを保つ
・接触の中で姿勢を崩さない
・切り返し時に上半身が流れない

こうした競技動作の中で体幹が機能しているかどうかが重要です。そのため、片脚支持や回旋動作を含んだメニューなど、動きの中で体幹を使うトレーニングが効果的とされています。

育成年代における体幹トレーニングの考え方

育成年代では、「強くする」よりも「正しく使えるようにする」ことが優先されます。成長期の選手に過度な負荷をかけると、腰や股関節へのストレスが高まり、怪我のリスクが増します。

短時間・低負荷で、動作の質にフォーカスした体幹トレーニングを、ウォーミングアップやクールダウンの一部として取り入れるのが理想的です。

指導者に求められる視点

体幹トレーニングを導入する際、指導者は「なぜこのメニューを行うのか」を説明できる必要があります。目的が共有されていないトレーニングは、効果が出にくいだけでなく、選手のモチベーションも下げてしまいます。

「体幹を鍛えたいからやる」ではなく、「この動きを安定させるために行う」という具体性が重要です。

体幹トレは“手段”であって“目的”ではない

体幹トレーニングは、正しく行えば怪我予防や動作改善に役立つ有効な手段です。しかし、万能薬のように扱うのは危険です。

大切なのは、競技特性や選手の状態を見極め、必要な形で取り入れることです。体幹トレーニングを「やること」自体が目的になっていないか、一度立ち止まって見直すことが、育成の質を高める第一歩と言えるでしょう。

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