選手から信頼される指導者に共通する“3つの習慣”

スポーツの世界では、指導者の存在が選手の成長に大きく影響を与えます。同じ練習メニューを与えても、選手が「この人の言葉だから頑張れる」と感じる場合と、「言われたから仕方なくやっている」と受け取る場合では、その成果に大きな差が生まれます。
そこには、指導者と選手との“信頼関係”が深く関わっています。
では、選手から信頼される指導者とはどんな人物でしょうか。技術や戦術の知識が豊富であることはもちろん大切ですが、実際にはそれだけでは選手の心をつかむことはできません。信頼を得ている指導者には、ある共通した習慣があります。本稿では、その“3つの習慣”について掘り下げてみます。
信頼される指導者に共通する3つの習慣
1. 「聴く」ことを大切にしている
信頼される指導者は、選手の声に耳を傾ける習慣を持っています。
練習中のアドバイスや技術指導はもちろん必要ですが、選手が今どのような気持ちで取り組んでいるのか、何に悩んでいるのかを知るには「聴く力」が欠かせません。選手が「自分の意見を聞いてもらえている」と感じることで、安心感と主体性が育まれます。
たとえば、試合でミスをした後に「なぜそんなことをしたんだ」と叱るのではなく、「あの場面ではどう見えていた?」「次はどうしたいと思う?」と問いかけることで、選手は自分の考えを言葉にすることができます。その過程で、選手自身が課題を整理し、前向きな解決策を見つけるきっかけになるのです。
「指導=一方的に伝えること」ではなく、「対話を通じて育てること」。この姿勢がある指導者ほど、選手は心を開き、信頼を寄せていきます。
2. 公平であり続ける
次に重要なのは「公平さ」です。選手は指導者の言動を非常に敏感に見ています。「あの選手だけ特別扱いされている」「自分は見てもらえていない」と感じれば、不満や不信感が生まれ、チーム全体の雰囲気も悪くなります。
信頼される指導者は、選手一人ひとりの違いを理解しながらも、評価や扱いの基準を公平に保つ習慣を持っています。
公平であるとは、単に「全員を同じように扱う」ということではありません。むしろ選手の個性や状況に応じた声かけや役割の与え方を工夫しながら、チームとしてのルールや評価基準は一貫させることが重要です。
たとえば、練習態度や努力する姿勢を正当に評価することは、スター選手に対しても控えめな選手に対しても同じであるべきです。その一貫性が「この指導者は信頼できる」という安心感を生みます。
公平さはときに厳しさを伴うこともあります。エース選手だからといってミスを見逃すのではなく、同じ基準で指摘することが、チーム全体の信頼を守ることにつながるのです。
3. 「人としての誠実さ」を持ち続ける
最後に挙げたいのは、指導者自身の「誠実さ」です。
選手は言葉以上に、指導者の姿勢や日常の行動から多くを学び取ります。指導者が約束を守らなかったり、その場しのぎの発言を繰り返したりすれば、どんなに立派な理論を語っても、信頼はすぐに揺らぎます。
逆に、誠実な指導者は自分の弱さも隠さず、選手に対して正直に向き合います。「自分の指導が完璧ではない」と認めたり、「今日は自分も反省すべき点がある」と素直に伝えたりする姿は、選手にとって大きな学びとなります。
また、誠実さは「結果至上主義に流されないこと」にも現れます。勝利を目指すのは当然ですが、それ以上に「選手の成長」「人としての成長」を第一に考える姿勢を選手は敏感に感じ取ります。「この指導者は自分を人として大切にしてくれる」という確信こそ、揺るぎない信頼を生むのです。
信頼は一日にしてならず
「聴く力」「公平さ」「誠実さ」――この3つの習慣は、どれも特別な才能を必要とするものではありません。しかし、それを日常の中で一貫して実践し続けることは決して簡単ではありません。
信頼関係は短期間で築けるものではなく、指導者が日々の小さな積み重ねを怠らないことで少しずつ深まっていきます。そしてその信頼があるからこそ、選手は困難に直面したときに指導者を頼り、前向きに努力を続けることができるのです。
信頼される指導者に共通する3つの習慣 | まとめ
スポーツ指導の現場では、戦術や技術を教えるスキル以上に、「人として信頼される存在であること」が求められます。
選手から信頼される指導者には、共通して次の3つの習慣があります。
・選手の声を「聴く」ことを大切にしている。
・評価や対応に「公平さ」を持ち続けている。
・言葉と行動に「誠実さ」を貫いている。
これらを実践することで、指導者は選手の心をつかみ、チーム全体をより強く成長させることができます。信頼は最大の戦術であり、最高の指導法でもあるのです。