サッカーJ1のトレンド戦術①:3バックシステムのメリット

2025年のJリーグが開幕して早くも1カ月が立ちましたが、それぞれのクラブの特徴も見えてきましたね。
日本代表でもそうですが、近年J1で3バックシステムがトレンドとなっています。
本記事では3バックシステムのメリットについて解説したいと思います。
3バックシステムを深く理解することでサッカー観戦がより楽しくなるかもしれません。
1. 3バックシステムとは?
1.1 3バックシステムの基礎知識
近年、J1リーグでも多くのチームが採用するようになった3バックシステム。
そのメリット・デメリットを理解する前に、まずは3バックシステムの基礎知識を深めていきましょう。
1.2 定義とフォーメーションの種類
3バックシステムとは、最終ラインに3人のディフェンダーを配置するシステムのことです。
4バックシステムと比較して、中盤や前線に人数を割くことができるため、攻撃的な布陣を敷きやすいという特徴があります。
3バックシステムは、主に3-4-3、3-5-2、3-4-2-1といったフォーメーションで用いられます。
これらのフォーメーションは、中線の構成やFWの人数によって変化し、それぞれ異なる特性を持っています。
フォーメーション | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
3-4-3 | 攻撃的なフォーメーション。サイドの攻撃力が高い。 | 多くの攻撃パターンを持つ。サイド攻撃が強力。 | 守備のバランスが崩れやすい。 |
3-5-2 | 攻守のバランスが良いフォーメーション。中盤を厚くできる。 | ボール支配率を高めやすい。守備も安定している。 | 攻撃の迫力に欠ける場合がある。 |
3-4-2-1 | 攻撃の組み立てに重点を置いたフォーメーション。トップ下に創造性のある選手を配置することが多い。 | パスワークで相手を崩しやすい。 | サイド攻撃が手薄になりやすい。 |
2. J1での採用状況
2.1 導入チームの増加傾向
近年、J1リーグでは3バックシステムを採用するチームが増加傾向にあります。 その背景には、世界的なサッカー戦術のトレンドがあります。
ポゼッションサッカーの進化や、ハイプレス戦術への対策として、3バックシステムが注目を集めています。
また、Jリーグにおいても、戦術の多様化が進み、3バックシステムのメリットが再評価されていることも要因の一つと言えるでしょう。
Jリーグの公式記録サイトなどで、3バックを採用しているチームの試合結果や戦術分析を確認することができます。
2.2 上位チームの戦術事例
J1リーグの上位チームでも、3バックシステムを効果的に活用している事例が多く見られます。例えば、柏レイソルは、リカルド・ロドリゲス監督の下、3バックシステムをベースとしたポゼッションサッカーを展開し、好成績を収めています。
また、サンフレッチェ広島は、ミヒャエル・スキッベ監督の下、マンツーマンディフェンスを主体とした3バックシステムを採用し、高い位置からの守備と素早い攻撃を両立させています。
これらのチームは、3バックシステムのメリットを最大限に活かすことで、リーグ戦で上位争いを繰り広げています。
3. 3バックシステムのメリット
3バックシステムは、現代サッカーにおいて多くのチームで採用されている戦術です。
そのメリットは多岐に渡り、守備と攻撃の両面でチームに大きな利点をもたらします。
以下で詳しく解説します。
3.1 守備面でのメリット
3バックシステムの守備面でのメリットは、堅牢な守備ブロックを形成しやすい点にあります。
特に、サイド攻撃への対応力強化やカウンター攻撃に対する備えを厚くすることが可能です。
3.1.1 5バックへの可変による安定性向上
3バックシステムは、状況に応じて容易に5バックへと可変できます。守備時には両サイドのウイングバックが最終ラインに吸収され、5人のDFラインを形成することで、中央の守備密度を高めることが可能です。
これにより、相手の攻撃を中央に限定し、サイドからの突破を困難にする効果があります。中央の守備を固めることで、クロスボールへの対応も容易になり、失点のリスクを軽減できます。
また、中央に人数をかけることで、セカンドボールの回収率も向上し、攻撃の起点を作らせにくくする効果も期待できます。
3.1.2 サイド攻撃への対応力強化
5バックへの可変は、サイド攻撃への対応力強化にも繋がります。ウイングバックが最終ラインに吸収されることで、サイドの守備人数が増加し、相手のサイドハーフやウイングを複数人で囲い込むことが可能になります。
これにより、ドリブル突破やクロスボールを未然に防ぎ、相手の攻撃の芽を摘むことができます。
また、ウイングバックがサイドハーフとマッチアップすることで、相手のサイド攻撃の起点となる選手を封じ込める効果も期待できます。
3.2 攻撃面でのメリット
3バックシステムは、守備だけでなく攻撃面でも多くのメリットがあります。
特に、ビルドアップの効率化や攻撃の幅拡大に大きく貢献します。
3.2.1 ビルドアップの効率化
3バックシステムは、ビルドアップの際にパスコースを多く作り出すことができます。3人のセンターバックが後方に配置されることで、相手フォワードのプレスを回避しやすく、中盤の選手へのパスコースを確保しやすくなります。
また、両サイドのウイングバックが高い位置を取ることで、相手ディフェンスラインの裏へのロングパスも選択肢に加わります。これにより、相手ディフェンスを揺さぶり、攻撃のテンポを速めることが可能になります。
さらに、センターバックが直接ドリブルで持ち上がり、攻撃に参加することも容易になり、攻撃のバリエーションを増やすことにも繋がります。
3.2.2 ウイングバックの活用による攻撃の幅拡大
3バックシステムでは、ウイングバックが攻撃の重要な役割を担います。ウイングバックは、サイドの高い位置を取り、攻撃の幅を広げる役割を担います。
これにより、相手ディフェンスラインを広げ、中央のスペースを作り出す効果があります。また、ウイングバックは、ドリブル突破やクロスボールでチャンスを演出することも可能です。
さらに、ウイングバックが攻撃に参加することで、相手サイドバックを釣り出し、中央のスペースを空ける効果も期待できます。
ウイングバックの運動量と攻撃能力は、3バックシステムの攻撃力を大きく左右する重要な要素となります。
メリット | 詳細 |
---|---|
守備の安定性向上 | 5バックへの可変により、中央の守備密度を高め、クロスへの対応やセカンドボール回収を容易にする。 |
サイド攻撃への対応力強化 | ウイングバックが最終ラインに吸収され、サイドの守備人数が増加。ドリブル突破やクロスを未然に防ぐ。 |
ビルドアップの効率化 | パスコースを多く作り出し、相手フォワードのプレスを回避しやすく、中盤へのパスコースを確保。 |
攻撃の幅拡大 | ウイングバックが高い位置を取り、相手ディフェンスラインを広げ、中央のスペースを作り出す。 |
3バックシステムのメリット | まとめ
今回は今トレンドの3バックの基礎知識とそのメリットについて解説しました。
J1リーグにおいてトレンドとなっている3バックシステムは、守備においては5バックへの可変による安定性向上やサイド攻撃への対応力強化といったメリットがあるので採用しているクラブが多いのでしょう。
ただ可変システムになるので、特にウイングバックの臨機応変な対応と戦術理解が高くないと成り立たないシステムとも言えるでしょう。
次回は3バックのデメリットについても説明したい思います。