選手が「自分の強み」を言葉にできることの重要性

「あなたの強みは何ですか?」と聞かれたとき、すぐに答えられる選手はどれくらいいるでしょうか。
「足が速い」「シュートが得意」と答える選手もいれば、なかなか言葉が出てこない選手もいるかもしれません。しかし、自分の強みを理解することは、単に自分の得意なことを知るだけではありません。自分がどのような場面で力を発揮できるのかを理解することは、プレーの選択や日々のトレーニングにもつながります。
課題を改善することはもちろん大切です。一方で、弱点ばかりに目を向けるのではなく、「自分には何ができるのか」を理解し、それを伸ばしていく視点も選手の成長には欠かせません。
「自分の強み」を知ることも成長の一つ
スポーツでは、できないことや改善すべきことに目が向きやすいものです。試合後にも「あのパスをミスした」「もっと走れた」など、反省点を振り返る機会は多くあります。
もちろん、課題を把握して改善することは必要です。しかし、課題ばかりを探していると、自分がすでに持っている良さに気づけないことがあります。
例えば、得点やアシストがなくても、相手の攻撃を予測する力がある選手、周囲を見て味方を助けられる選手、最後まで運動量を落とさずプレーできる選手もいます。それらも立派な強みです。
できないことを減らすだけでなく、できることを理解して伸ばす。それも選手が成長していくための大切な視点です。
強みは「得意な技術」だけではない
「自分の強みは?」と聞くと、ドリブル、シュート、パス、スピードなどを思い浮かべる選手が多いかもしれません。しかし、選手の強みは目に見えやすい技術や身体能力だけではありません。
例えば、「相手より先に危険を察知できる」「味方を見ながらポジションを変えられる」「苦しい時間帯でも声を出せる」「失敗してもすぐ次のプレーに切り替えられる」。こうした力も、試合の中では大きな武器になります。
特に育成年代では、成長によって体格やスピードも変化します。今は身体能力で優位に立てていても、カテゴリーが上がれば同じようにはいかないこともあります。一方で、周囲を見る力や予測する力などが、後になって大きな強みになることもあります。
「何が得意か」だけではなく、「どんな場面でチームに貢献できるのか」という視点で考えることが、自分の強みを見つけるきっかけになります。
言葉にすることで強みはさらに明確になる
自分の強みをなんとなく分かっていることと、それを自分の言葉で説明できることには違いがあります。
例えば、「守備が得意です」だけでは、具体的に何が得意なのかは分かりません。「相手がボールを受ける前に予測して動くことが得意」と説明できれば、自分の強みがより明確になります。
言葉にするためには、自分のプレーを振り返らなければなりません。「なぜ上手くいったのか」「自分は何を見ていたのか」「どんな判断をしたのか」と考えることで、自分のプレーへの理解も深まります。
強みを言語化できれば、練習や試合でも意識してその力を使えるようになります。そして、「さらに伸ばすには何が必要か」という次の課題も見つけやすくなるでしょう。
指導者が強みに気づくきっかけをつくる
選手自身が、自分の強みに気づいていないこともあります。特に育成年代では、周囲と比較して「自分はあの選手より足が遅い」「ドリブルが上手くない」と、できない部分ばかりを見てしまうことがあります。
そこで重要になるのが、指導者からの具体的なフィードバックです。「今日良かったよ」だけではなく、「相手が前を向く前に寄せられていたね」「ボールを持っていないときの動きでスペースを作れていたね」と伝えることで、選手は自分の良さを具体的に理解できます。
ただし、指導者が強みを一方的に決めるのではなく、選手自身に考えてもらうことも大切です。「今日、自分の良さが出たのはどの場面だった?」と問いかけるだけでも、自分のプレーを振り返るきっかけになります。
指導者から見えている強みと、選手自身が感じている強みをすり合わせることで、選手は少しずつ自分自身を理解できるようになります。
「自分の強み」を言葉にできる選手になるために|まとめ
選手の成長を考えるとき、課題を見つけて改善することは欠かせません。しかし、「何ができないか」だけではなく、「自分には何ができるのか」を知ることも大切です。
強みはシュートやドリブル、スピードといった分かりやすい能力だけではありません。状況を読む力、味方を助ける動き、切り替えの速さなど、一人ひとりに異なる強みがあります。
大切なのは、その強みをなんとなく感じるだけで終わらせず、「自分は何が得意なのか」「どんな場面で力を発揮できるのか」を自分の言葉で説明できるところまで理解することです。指導者も、選手が自分では気づいていない良さを具体的に伝えることで、そのきっかけをつくることができます。
弱点をなくすことだけが成長ではありません。「自分にはこれがある」と言える武器を見つけ、それをさらに磨いていくことも、選手が成長していくための大切な一歩になるのではないでしょうか。