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疲労感・無気力…それ、オーバートレーニングかも

スポーツの現場で、選手に「もっと頑張れ」「最後までやり切れ」と声をかける場面は少なくありません。

しかし、努力を重ねることが美徳とされる一方で、その頑張りが行き過ぎた結果、心身をむしばむ危険性があります。その典型例が「オーバートレーニング症候群」です。

疲労感が抜けない、やる気が出ない、パフォーマンスが落ちている――。これらは単なる気合不足やメンタルの弱さではなく、身体からの警告サインかもしれません。

選手を守り、長期的な成長につなげるために、指導者は「休ませる勇気」を持つことが求められています。

休ませる勇気とその見極め方

オーバートレーニングとは?

オーバートレーニング症候群は、過度な練習や休養不足によって、身体が十分に回復できない状態が続き、慢性的な疲労やパフォーマンス低下を引き起こす症状です。

単なる「一時的な疲れ」とは異なり、数週間から数か月にわたって改善しないこともあります。さらに、身体面だけでなく精神面にも大きな影響を及ぼすのが特徴です。

主なサインと症状

指導者が見逃してはいけない「オーバートレーニングの兆候」は次の通りです。

身体的サイン
慢性的な疲労感
睡眠の質の低下(寝つけない、夜中に目が覚める)
食欲不振や体重減少
ケガが増える、回復が遅い
心拍数の上昇(安静時でも高い)

精神的サイン
無気力、やる気の喪失
集中力の低下
練習への拒否感
些細なことでイライラする

これらのサインを「甘え」と決めつけてしまうと、選手はさらに自分を追い込み、悪循環に陥ってしまいます。

なぜ起こるのか?

オーバートレーニングは「頑張りすぎ」だけが原因ではありません。

休養不足
練習量に対して回復の時間が足りない。特に育成年代は成長による負担も加わりやすい。

栄養不足
ハードな運動に見合ったエネルギーや栄養を摂取できていない。

心理的ストレス
試合でのプレッシャー、学業との両立、家庭や人間関係の悩みが心身の疲労を増幅させる。

一律の練習メニュー
個人差を考慮せず、全員に同じ負荷を与え続けると、体力的に弱い選手からオーバートレーニングに陥りやすい。

休ませる勇気が必要な理由

日本のスポーツ文化には「頑張れば報われる」「休むことは怠け」という価値観が根強くあります。しかし、身体の悲鳴を無視して練習を続けても、成長どころか逆効果です。

休養はトレーニングの一部であり、筋肉や神経、ホルモンの働きが回復する時間がなければ、強くなることはできません。指導者が「休め」と言うことは、決して甘やかしではなく、選手の未来を守るための戦略なのです。

見極めのポイント

オーバートレーニングかどうかを判断する際には、以下の視点が役立ちます。

主観的な疲労度を聞く
「今日の体調はどう?」「どのくらい疲れている?」と選手に聞き、自己申告を尊重する。

客観的な数値を参考にする
心拍数や体重の変化、睡眠時間などを記録することで、変調に気づきやすくなる。

プレーの質を観察する
普段ならできるプレーが極端にできなくなっている場合、疲労の蓄積を疑う。

練習態度や感情の変化を把握する
集中力の欠如、イライラ、無気力は精神的疲労のサイン。

指導者にできる予防策

オーバートレーニングを防ぐには、日々のマネジメントが不可欠です。

練習量をコントロールする
強度の高い練習が続かないようにメニューを組み、休養日を計画的に設ける。

選手ごとのコンディションを尊重する
体力や回復力は個人差が大きい。同じメニューを全員に課すのではなく、調整を認める。

睡眠と栄養の大切さを伝える
特に育成年代では、夜更かしや偏った食事が疲労回復を妨げる。生活習慣への意識づけが必要。

心理的サポートを行う
失敗を過度に責めない、安心して相談できる雰囲気をつくる。

休むことが「次の成長」につながる

「練習を休ませる」と聞くと、どうしてもネガティブなイメージを持ちがちです。しかし、休養によって身体と心が整えば、再び高い集中力とパフォーマンスを発揮できるようになります。

トップアスリートほど休養を重視し、自分の身体と対話しています。成長期の選手にとっても同じであり、休むことは決して後退ではなく、未来への投資です。

休ませる勇気とその見極め方 | まとめ

選手が疲労感や無気力を訴えたとき、それを「気合不足」と片付けてしまうのは簡単です。

しかし、その裏にはオーバートレーニングという深刻なリスクが隠れているかもしれません。

指導者に求められるのは「追い込む力」だけでなく「休ませる勇気」です。休養を含めたトレーニング設計こそが、選手の長期的な成長と健康を守り、スポーツを楽しみ続ける土台となるのです。

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