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ダブルゴールコーチの指導方法

先日、勝利至上主義について解説しました。

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スポーツ指導の現場において、「勝利」と「人間的成長」を両立させることは長年の課題とされてきました。

近年、この二つの目標を同時に追求する指導理念として注目されているのが「ダブルゴールコーチング」です。

このアプローチでは、選手の競技力向上を目指すと同時に、スポーツを通して人間としての成長を促すことが求められます。単なる勝敗にとどまらず、選手の内面的な発達を重視した指導法は、教育現場や地域スポーツの現場でもその価値を高めつつあります。

本記事では、ダブルゴールコーチの具体的な指導方法と、その根底にある人間的成長への視点について詳しく解説します。

ダブルゴールコーチの具体的な指導方法

ダブルゴールコーチは、アスリートの競技力向上と人間的成長の両立を目標に指導を行います。

そのため、指導方法は単なる技術指導にとどまらず、選手の内面的な成長を促すための様々なアプローチが含まれます。

具体的には、目標設定、プロセス重視の指導、そしてフィードバックとコミュニケーションを重視した指導を行います。

1. 目標設定の重要性

ダブルゴールコーチングでは、目標設定を非常に重視します。目標は、選手が自身の成長を測るための指標となるだけでなく、モチベーションの維持にも繋がります。目標設定においては、短期的な目標と長期的な目標の両方を設定することが重要です。

短期的な目標は、達成可能な範囲で設定することで、選手に自信を与え、次のステップへのモチベーションを高めます。

一方、長期的な目標は、選手が最終的に目指す姿を明確にすることで、日々の練習に意味を持たせます。

また、目標は選手自身で設定することが重要です。コーチは、選手が目標を設定するプロセスをサポートし、必要に応じてアドバイスを与えますが、最終的な決定は選手自身が行うことで、主体性を育みます。

2. プロセス重視の指導

ダブルゴールコーチングでは、結果だけでなく、プロセスを重視します。結果だけを重視すると、選手はプレッシャーを感じ、本来の実力を発揮できない可能性があります。また、不正行為に手を染めてしまうリスクも高まります。

一方、プロセスを重視することで、選手は目の前の課題に集中し、努力を継続することができます。コーチは、選手が努力を継続できるよう、適切な課題を設定し、適切なサポートを提供する必要があります。

また、選手が努力のプロセスを楽しむことができるよう、工夫することも重要です。例えば、練習メニューに変化をつけたり、チームメイトとの協力を促したりすることで、練習のマンネリ化を防ぎ、モチベーションを維持することができます。

3. フィードバックとコミュニケーション

ダブルゴールコーチングでは、フィードバックとコミュニケーションを非常に重視します。コーチは、選手のパフォーマンスや行動に対して、具体的で建設的なフィードバックを提供することで、選手の成長を促します。フィードバックは、ネガティブな内容だけでなく、ポジティブな内容も含めることが重要です。選手の良い点を認めることで、選手の自己肯定感を高め、さらなる成長を促すことができます。また、コーチは選手とのコミュニケーションを密にすることで、選手の考えや感情を理解し、適切な指導を行うことができます。

例えば、定期的な面談を実施したり、練習中に選手と積極的にコミュニケーションをとったりすることで、信頼関係を構築し、選手が安心して練習に取り組める環境を作ることができます。

指導項目 具体的な内容
目標設定 短期目標と長期目標を設定。選手主体で決定し、コーチはサポートに徹する。
プロセス重視 結果だけでなく、努力のプロセスを評価。適切な課題設定とサポートを提供。
フィードバックとコミュニケーション 具体的で建設的なフィードバックを提供。ポジティブな内容も含め、選手との信頼関係を構築。

これらの指導方法を通じて、ダブルゴールコーチは選手の競技力向上と人間的成長をサポートします。勝利を目指すことはもちろん重要ですが、それ以上に、スポーツを通じて人間として成長し、社会に貢献できる人材を育成することを目指します。

人間的成長と真のゴール

ダブルゴールコーチングは、競技における勝利を目指すだけでなく、選手の人間的成長にも焦点を当てます。真のゴールとは、単に試合に勝つことではなく、スポーツを通して人間性を高め、社会に貢献できる人間へと成長することです。

それは、自己肯定感を育み、リーダーシップを発揮し、困難を乗り越える力を身につけることを意味します。

以下に、ダブルゴールコーチングが目指す人間的成長の具体的な側面を説明します。

1. 自己肯定感を高める

ダブルゴールコーチングでは、結果だけでなく、努力やプロセスを評価することで、選手の自己肯定感を高めます。成功体験だけでなく、失敗から学ぶ経験も重視することで、選手は自信を持って挑戦し続け、成長を続けることができます。

例えば、目標達成を細かく設定し、小さな成功体験を積み重ねることで、自信や自己肯定感を高めることができます。仮に重要な大会で良い結果が残せなかったとしても、そこに至るまでの努力の積み重ねや正しい行動に関してはしっかりと評価すべきでしょう。

また、コーチからのポジティブなフィードバックや励ましは、選手の自己肯定感を育む上で重要な役割を果たします。

2. 社会貢献への意識

スポーツは、社会貢献の意識を育む絶好の機会を提供します。チームワークやフェアプレーの精神、そして、地域社会への貢献活動を通じて、選手は社会の一員としての自覚を深めます。ダブルゴールコーチングでは、スポーツを通して社会貢献の大切さを学び、実践する機会を選手に提供します。決してスポーツだけやって体力やスキルを伸ばすだけで良いという考え方ではありません。

例えば、ボランティア活動への参加や、地域スポーツイベントへの協力などを促すことで、社会貢献への意識を高めることができます。

3. リーダーシップの育成

ダブルゴールコーチングは、リーダーシップの育成にも重点を置きます。チームをまとめ、目標達成に向けて仲間を鼓舞する力、そして、困難な状況でも諦めずにチームを導く力は、スポーツだけでなく、人生の様々な場面で役立ちます。

コーチは、選手にリーダーシップを発揮する機会を与え、その成長をサポートします。例えば、チームキャプテンを任命したり、練習メニューの作成を選手に委ねたりすることで、リーダーシップスキルを養うことができます。

人間的成長の側面 具体的な行動 期待される効果
自己肯定感 小さな目標設定、努力の評価、ポジティブフィードバック 自信の向上、挑戦意欲の向上
社会貢献意識 ボランティア活動、地域スポーツイベントへの参加 社会の一員としての自覚、責任感の向上
リーダーシップ チームキャプテン、練習メニュー作成、意見交換の場 統率力、判断力、コミュニケーション能力の向上

ダブルゴールコーチの指導方法 | まとめ

ダブルゴールコーチングは、単に技術的な成果を追求するのではなく、選手の人生そのものに影響を与える深い教育的意義を持つ指導法です。目標設定の主体性、プロセスを重視する姿勢、そして信頼関係を築くコミュニケーションを通じて、選手は競技者としてだけでなく、社会の一員としても成長していきます。

勝つことがすべてではない。スポーツを通じて、自己肯定感、リーダーシップ、社会貢献意識といった「人間力」を育むことこそが、ダブルゴールコーチングが目指す「真の勝利」なのです。

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