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複数コーチ体制でありがちな“指導のズレ”をなくす方法

育成年代のスポーツ現場では、複数のコーチが関わる体制をとるチームが増えています。専門性を持った指導者が揃うことで練習の質が高まり、選手一人ひとりに目を配ることができるのは大きなメリットです。しかしその一方で、複数コーチ体制ならではの課題も浮き彫りになります。その代表的なものが「指導のズレ」です。

例えば、あるコーチは「まず守備意識を徹底しよう」と伝える一方で、別のコーチは「攻撃で積極的に仕掛けろ」と求める。選手は「どっちを優先すればいいのか」と混乱し、結果としてプレーが不安定になることがあります。また、同じプレーに対して「今のはよかった」と褒めるコーチもいれば、「判断が遅い」と否定するコーチもいる。このような状況は、選手の成長を妨げるだけでなく、チーム全体のモチベーションや信頼関係にも悪影響を及ぼしかねません。

本記事では、複数コーチ体制でありがちな指導のズレをどのようになくし、チームとして一貫性のある指導を実現するかについて考えていきます。

“指導のズレ”をなくす方法

なぜ“指導のズレ”が起きるのか

指導理念の共有不足
チームとしての大方針が明確に示されていない場合、各コーチが自身の経験や価値観に基づいて指導するため、方向性にバラつきが生まれます。

コミュニケーション不足
日常的にコーチ同士の話し合いが少ないと、互いの意図や強調点を理解しないまま練習や試合に臨むことになり、結果としてズレが選手に伝わります。

役割分担の曖昧さ
戦術面・技術面・フィジカル面といった分担が不明確だと、同じテーマを別々の視点から指導してしまい、指導の重複や矛盾が発生します。

指導のズレをなくすための3つの工夫

1. チームの「指導理念」を明文化する

最も重要なのは、チーム全体で共通の「指導の軸」を持つことです。
「この年代では結果よりも基礎技術を徹底する」「チャレンジを評価する文化を大事にする」など、チームとして何を最優先にするのかを明文化しておくと、各コーチの指導がぶれにくくなります。

この理念は抽象的なスローガンにとどまらず、「試合での判断基準」「練習で重視する姿勢」など具体的な形に落とし込むことがポイントです。たとえば「消極的なミスは減らすが、積極的なミスは歓迎する」と決めれば、選手も安心して取り組むことができ、コーチ間でも評価の基準がそろいます。

2. コーチ間のコミュニケーションの習慣化

練習や試合後に必ず短時間でも振り返りを行うことが効果的です。
「今日のテーマに沿った指導ができたか」「選手に伝わりにくかった場面はなかったか」を確認し合うことで、ズレを早期に修正できます。

また、LINEや共有ドキュメントなどのツールを使って、練習メニューや指導方針を事前に共有しておくのも有効です。忙しい現場だからこそ、情報のすれ違いをなくす仕組みを整えることが必要です。

3. 役割分担の明確化

複数コーチがいる強みは「それぞれの専門性を活かせること」です。しかし、逆に言えば役割が曖昧だと競合してしまいます。

「戦術全体の設計はヘッドコーチ」「技術的な個別指導はアシスタントコーチ」「フィジカル面はトレーナー」といったように、分担を明確にすることで、指導の重複や矛盾を防げます。

さらに、選手に対しても「このテーマはこのコーチに聞けばいい」と認識させると、混乱が減り、主体的な学びにつながります。

選手への伝え方も工夫する

指導者間でいくら共通理解があっても、それが選手に伝わらなければ意味がありません。大切なのは「選手にとって一貫している」と感じられることです。

例えば、戦術上の優先順位を「1.守備の切り替え 2.ボール保持 3.攻撃の仕掛け」と具体的に示せば、選手は迷わず判断できます。練習後のフィードバックでも、どのコーチも同じ優先順位に基づいて話せば、メッセージの統一感が生まれます。

ケーススタディ:成功している複数コーチ体制の例

ある中学サッカーチームでは、コーチが3名体制で活動しています。以前は「試合に勝ちたい」派と「育成重視」派で意見が分かれ、選手は混乱していました。そこで、チームとして「この年代は個人技術の習得を第一にする」と方針を決め、勝敗に関する指摘は最小限にしました。さらに、練習ごとに担当コーチを決め、終わった後に全員で振り返る仕組みを導入。結果として、選手が迷わずプレーできるようになり、コーチ同士の信頼関係も深まりました。

“指導のズレ”をなくす方法 | まとめ

複数コーチ体制は、選手の成長に大きな可能性をもたらす一方で、「指導のズレ」という落とし穴も抱えています。

そのズレをなくすためには、

チームの指導理念を明文化する
コーチ間のコミュニケーションを習慣化する
役割分担を明確にする

という3つの工夫が不可欠です。

最終的なゴールは、選手が迷わず安心して成長できる環境を整えることです。コーチ同士が「同じ方向を見ている」という姿勢を示すことで、チーム全体の一体感が高まり、選手の力を最大限に引き出すことができるのです。

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